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赤の1本目はラ・カステッラーダの95年。ラ・カステッラーダは、グラヴネルやラディコンと並ぶ「オレンジワイン」の第一世代ですが、赤も捨てがたい魅力を持っています。時として攻撃性が強いグラヴネルやラディコンと異なり、カステッラーダは中庸を行く作り手。どのワインも決して行き過ぎるところはなく、バランスが取れた端正な姿をしています。ヴェネトの一つ星リストランテLaiteで飲んだロッソ96年の素晴らしさは今でも印象深いです。
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Collio Rosso 1995
品種:メルロー 90%、カベルネ・ソーヴィニオン 10%
格付け:DOC Collio Rosso
醸造:詳細不明ですが、ウェブサイトに掲載されている2001年ヴィンテージの情報だと、ズラヴォニアンオークの大樽で天然酵母で発酵。熟成はバリック12ヶ月、大樽24ヶ月。
アルコール度数:12.5%
ブドウ:詳細不明ですが、上と同じく2001年ヴィンテージの情報だと、畑の標高は約180m、樹齢は約45年。イールドは約30hl/ha。
生産本数:不明。

なかなか香りは出てきませんでしたが、グラスにしばらく置いておくと、徐々に赤系の果実や森の下草系の香りが立ち始めました。味わいも開いてくるまで時間がかかりました。完全に開く前に飲みきってしまいましたが、かなり抑制の効いたタイトな作りのワインに思えます。果実味は控えめですが、しっかりと熟しています。最大の特徴はフレッシュな酸で、全体的にまだまだ非常に若々しいという印象です。

からっと明るく、愛想がいいワインではありません。湿り気があって控え目、じっくり向き合って初めて良さが分かる、通好みの作品です。飲み進むにつれて、コッリオの森と、そこにしとしと降る雨が記憶に蘇ってきました。

by taurasista | 2018-09-18 20:30 | ワイン(イタリア)

続いてはダミアンの初期のワインです。以前にも書きましたが、ダミアンとの出会いは2005年、場所はヨスコ・グラヴネルのカンティーナでした。と言っても、そこに本人がいた訳ではなく、帰り際に玄関で見かけた見慣れないボトルがダミアンのワインだったのです。ヨスコの弟子だと聞いて興味を持ち、翌年のフリウリ再訪時にアポを取りました。春の雨が降る薄暗い夕方、打ち捨てられた納屋のようなセラーで試飲させてもらったワインは、貴腐がついたキュヴェの印象が非常に強かったことを覚えています。
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Bianco Kaplija 2003
品種:マルヴァジア・イストリアーナ、シャルドネ、フリウラーノ
格付け:IGT Venezia Giulia
醸造:収穫後、開放式の大樽にてマセレーション。期間は60~90日、 圧搾後大樽にて2年間の熟成。
アルコール度数:13.0%
ブドウ:1998年に購入したモンテ・カルヴァリオのマルヴァジアとフリウラーノ、祖父から受け継いだサン・フロリアーノのシャルドネ。前者はコッリオに特徴的な土壌ポンカ(石灰質の強い泥炭)。樹上でブドウの完熟を待つため、収穫は10月中旬から11月。この地方は雨が多く、貴腐が付きやすい。貴腐が付いたブドウは厳密な選果をして活用。
ちなみに、Kapljaはスロヴェニア語で「雫」の意味。
生産本数:不明ですが、10,000本/年前後かと。

色はほぼオレンジで、かなり酸化が進んでいると予想しましたが、香りは意外に穏やか。オレンジピール、ハチミツ、シナモン、酸化香は突出することはなく、いいアクセントになっています。味わいは重層的で旨味が強い。この手のワインでは揮発的な酸の高さが気になることも多いですが、酸化香同様、こちらもいいアクセントレベルにコントロールされています。適度な甘みがあるのは貴腐の影響でしょうか。

初期のダミアンのワインは結構当たり外れがあるという印象でしたが、この2003年は熟成によって各要素が見事に調和した、素晴らしいワインでした。最近のヴィンテージは、若いうちから非常にレベルが高いので、数本ストックしておいて、その熟成を定点観測してみたいと思います。


by taurasista | 2018-09-17 10:53 | ワイン(イタリア)

フリウリの、いやイタリアの白ワインの近代化を主導した歴史的生産者マリオ・スキオペット。この日はそのバックヴィンテージでスタートです。

若き日のマリオはドイツやフランスの生産地を訪れ、そこで学んだ高いドイツの技術とフランスの理念を背景に、フリウリらしいワインを生み出すことを目指してワイン生産を開始します。ファースト・ヴィンテージは1965年。
その後もルイジ・ヴェロネッリ達と世界中の生産者を訪れ、そこで得た知見を活用するとともに惜しみなく若い世代に分け与え、イタリアワインの発展に多大な貢献を果たしました。イタリア本国では、アンジェロ・ガヤ、ピエロ・アンティノーリ、ニコロ・インチーザ・デッラ・ロケッタ(サッシカイア)達と並ぶ存在と評されていることも、その偉大さを物語っています。

マリオは2003年に亡くなりましたが、彼の子供達がカンティーナを引き継ぎ、現在も運営に当たっています(資本は売却してしまったようですが)。
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Collio Friulano 2008
品種:フリウラーノ 100%
格付け:DOC Collio
醸造:ステンレスタンクを使用して天然酵母で発酵。ステンレスタンクで澱とともに8ヶ月熟成。3ヶ月瓶熟後にリリース。
アルコール度数:14.0%
ブドウ:ポンカ Poncaと呼ばれるこの地に特徴的な石灰質が強い泥炭。樹齢は不明。
生産本数:約50,000本。

香りは果実味は控えめで、黄色い花やヨード香が中心。味わいはオイリーなテクスチャーと塩辛いミネラルが特徴的。ミディアムボディで、10年経過しても酸はまだまだフレッシュ。ヴォリューム感はほどほどですが、バランスに秀でていて、とても飲み心地が良いです。各要素がちょうど落ち着いた、ベストのタイミングで飲むことができたのかもしれません。

米系のワインメディアで高得点を取る「トロフィーワイン」ではありませんが、その土地らしさ、品種らしさを忠実に表現しているという点で、非常に優れたワインです。以前から馴染みのある生産者・ワインですが、改めてその感を強くしました。

by taurasista | 2018-09-15 12:19 | ワイン(イタリア)

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ロンドン最後の食事はローンストン・プレイス。最初は友人に勧められたグリーン・パークのHideに行くつもりだったのですが、愛着があるケンジントン・チェルシー地区でできるだけ時間を過ごしたかったので、20数年振りにこちらを訪れることにしました。

ローンストン・プレイスは故ダイアナ妃が常連だった1986年開業の歴史あるレストランです。数年前にロンドンベースのレストラングループ D&D Londonが買収して積極的に投資を行い、2012年にミシュランの星を初めて獲得しましたが、現在は星なし。昨年迎え入れた新シェフBen Murphyのミッションは星の再獲得とか。
なお、D&D Londonはかつてのコンラングループのレストランを買収して2006年にスタート。Quaglino's, Bluebird, Le Pont de la Tourなど2000年前後に一世を風靡したお店を傘下に持っています。
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この辺りの街並みは素晴らしく、散歩していて全く飽きません。ロンドンに住んでいた頃はこの辺りがジョギングコースだったので、道はほぼほぼ記憶していて、地図なしでお店まで到着です。
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ダイニングルームがいくつかの部屋に分かれているところは変わっていませんが、かつては質朴だったインテリアはかなりアップグレードされた印象。
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料理はシンプルモダン。素材の味をしっかり引き出したバランスのいい料理でした。ただインパクトにはいまひとつ欠けるかな。サービスも同じ。親切でてきぱきしていて、全体的にレベルは高いけれど、これといったプラスポイントもなし。料理、サービスでも何か一つ、心をぐっと掴むものが欲しいところです。一番印象に残っているのはグラスでオーダーしたDomaine FerretのPouilly-Fuissé 2015。トマト5種類のバスパチョの旨味・酸味としっかり寄り添う、いいワイン(そしてソムリエのチョイス)でした。

そして、20数年振りに戻ってきたというノスタルジックな想いは実際に来てみないと経験できないこと。当時ここで一緒に時を過ごした友人たちのことを思い出しながら過ごした、快晴のロンドンの昼下がりでした。



by taurasista | 2018-09-09 11:58 | レストラン(その他)

ボデガス・ムガは1932 年にリオハのワイン産地の中心部、バリオ・デ・ラ・スタシオンで設立されたワイナリーです。自社畑が250ha、契約畑が150haという大規模な生産者ですが、ラ・リオハ・アルタLa Rioja Altaやトンドニア Tondonia、クネ CVNEと並んで伝統派リオハの頂点に位置する作り手です。生産するのは熟成期間が長いレゼルヴァ以上のみです。
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Rioja Reserva 2001
品種:テンプラニーリョ Tempranillo 70%、ガルナッチャ Garnacha 20%、マスエロ Mazuelo、グラシアーノ Graciano 10%。
格付け:DOCa Rioja Reserva
醸造:大樽で天然酵母で発酵。24ヶ月大樽で熟成後にボトリング。ボトルで12ヶ月熟成させた後にリリース。
アルコール度数:13.5%
ブドウ:土壌は石灰粘土質。樹齢は不明。
生産本数:不明。

色調は薄め。香りは赤系の果実が中心でスモーキーなニュアンスもあります。凝縮していますが、同時に軽やか。
ボディはミディアム。溌剌とした酸があって、思っていたよりも冷涼な感じがあります。テクスチャーは非常に滑らかで素晴らしい。20年近く経過しても、十分なフレッシュさを残しています。もう少し熟成させるとさらに良くなるのでは、という気もします。なかなかレベルが高いワインです。
リリース直後に買えばそれ程高価ではなく、非常にコストパフォーマンスのいいワインでもあります。その意味でも、非常に価値が高いワインです。


by taurasista | 2018-09-03 20:03 | ワイン(その他)

続いては有名銘柄のクルニ。
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Kurni 2006
品種:モンテプルチャーノ 100%。
格付け:IGT Marche Rosso
醸造:ステンレスタンクでアルコール発酵を済ませた後、マロラクティック、熟成はフレンチオークの新樽バリック。約10ヶ月経過後、別の新樽に移し替え、引き続き約10か月熟成。いわゆる「新樽200%」。(2008年9月訪問時の情報)
アルコール度数:15.0%
ブドウ:複数の区画の混醸。
生産本数:年間約7,000本

色合いはほとんど黒。プリューン、バルサミコ、煮詰めたジャムといった極めて濃厚な香り。味わいはぶどうそのもの。凝縮感は凄まじく、溢れるぶどうのパワーをそのままボトリングしたという感じです。果実、酸、タンニンはいずれも強烈ですが、全て研ぎ澄まされて角がなく、高い次元でバランスしています。その土地らしさが感じられないとの批判もありますが、実際にカンティーナに行ってみた経験から言うと、それは正しくない。土地の持つ強力なパワーを忠実に反映させたワインだと私は思います。

カンティーナの様子は過去の訪問記をご覧ください。
https://taurasista.exblog.jp/9804936/
https://taurasista.exblog.jp/22235516/


by taurasista | 2018-09-02 08:36 | ワイン(イタリア)

赤はまずイタリア・マルケ州のオアジ・デッリ・アンジェリの2006年を2本。最初の1本は年産約500本のスーパーレアワイン クプラです。
品種はグルナッシュの亜種ボルド Bordo。カンティーナ近くで偶然発見された品種とのことですが、2014年5月訪問時にその由来を教えてもらいました。元々はサルデーニャのカンノナウCannonau。これがトスカーナ沿岸部のマレンマに上陸してアリカンテ Alicanteとなり、ウンブリアを通ってマルケにやってきたのだそうです。ちなみにマルケ方言でBordoはbastardを意味するとか。更にこのブドウはシチリア・エトナまで到達、そこでの名前はNelson。イギリスのネルソン提督にちなんで名付けられたとのことです。
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Kupra 2006
品種:ボルド Bordo 100%。
格付け:IGT Marche Rosso
醸造:現在はコンクリートの卵型タンクを使用していますが、当時はクルニと同じで新樽発酵・熟成だったと記憶しています。
アルコール度数:14.0%
ブドウ:カンティーナ近くで発見されたグルナッシュの古代品種ボルド。当時は確か単一区画だったと思います。樹齢約90年。
生産本数:年間約500本

グルナッシュらしく、色合いは淡目で、薄いルビー。香りは優しく柔らかで、森の下草、熟したラズベリー、スパイス。
優しく豊かな果実味に柔らかい酸を持つ、フェミニンでエレガントな味わい。時間が経過するとともに、心地よい甘さも出てきました。端正ですがボリューム感もしっかりあり、神経質なところもなくて、親しみやすく、かつとても美味しい。
熟成のピークに入っていて、今が飲み頃の非常に高品質なワインです。今年のトップ5候補かな。

by taurasista | 2018-09-01 15:38 | ワイン(イタリア)