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オーガニックが極めて日常的なカリフォルニア。ワイン生産者もどんどんオーガニック、更にはビオディナミへの転換が進んでいますが、ワインのスタイルは別の話。「ナチュラルワイン」はまだまだ一般的ではなく、扱っているお店も限られています。日本はオーガニックは周回遅れですが、「ナチュラルワイン」については情報量といい、購入できる種類といい、おそらく世界最先端でしょう。日本のインポーターの感度の高さは本当に素晴らしいと思います。

このルース・ルワンドウスキ・ワインズという作り手、拠点はアメリカ・ユタ州。ユタ州というと人口の過半数がアルコールを嗜まないモルモン教徒で、州法にもモルモン教の影響が強いと言われていますが、近年はアルコールに関する規制は緩和されており、クラフトビールに続いてワイン生産にも乗り出す若い人たちがいるようです。

ワイナリーのオーナー兼醸造家はエヴァン・ルワンドウスキ Evan Lewandowski。アルト・アディジェのロアカー Loaker、アルザスのビネール Binnerなどで修行し、2012年にユタに戻ってワイナリーを立ち上げました。ちなみに、Ruthとは彼の家族ではなく、旧約聖書のルツ(Ruth)記から。Naomiはその登場人物だそうです。
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Naomi 2015
品種:グルナッシュ・グリ100%
格付け:なし
醸造:全房でプレス、スキンコンタクトはなし。卵型タンクで温度管理せずに天然酵母で発酵(MLFも制御せず自然に任せる)、熟成。濾過、清澄なしでボトリング。SO2はボトリング時にごく少量加えるのみ。
アルコール度数:12.0%
ブドウ・畑:カリフォルニア州北部メンドシーノ Mendocino地区のGibson Ranch。樹齢は100年以上。収穫したブドウはエヴァン氏が自らトラックを運転してユタの醸造施設に運ぶ。
生産本数:2,400本

香りはオレンジの皮、レモン、白い花。塩気もあって、とても繊細です。味わいは香りよりもだいぶ分厚く、オイリーで少しタンニンも感じます。大きなワインではありませんが、整ったプロポーションでアグレッシブさもなく、心地よくすいすい飲めます。

私の白のナチュラルワインのベンチマークはグラヴネルやラディコンのようなスキンコンタクトを行ったもの。それ以外の種類はまだ余り経験がないので、このワインの客観的なポジションが判断できませんが、意外にさらっと作られているところに好印象を持ちました。

by taurasista | 2017-11-23 16:16 | ワイン(その他)

この夜の最後のワインはプルノットの78年。78年は71年と並ぶ70年代最高のヴィンテージ。個人的には外れを引いたことがはほとんどなく、安定のヴィンテージという印象もあります。

プルノットは第一次大戦後創立というランゲの作り手としては長い歴史を誇ります。初代オーナーはアルフレード・プルノット Alfredo Prunotto氏。彼の手腕でプルノットは高品質のワインで有名になり、経営的にも成功します。1956年に氏が引退した後、会社は醸造家のペッペ・コッラ氏たちに引き継がれ、1961年にはバローロで初めて単一畑の概念を導入するなど先進的な取り組みを行いましたが、80年代に経営面で行き詰まり、トスカーナのアンティノリに買収されて現在に至ります。

このワインを選んだ理由は、クレリコのパヤナと同じクリュ ジネストラのワインだから。この78年に使われているブドウに関しては情報がありませんが、当時クレリコは瓶詰めを行っていなかったので、ひょっとしたら彼の畑のブドウも使われていたかもしれません。
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Barolo Riserva Ginestra 1978
色は伝統的なネッビオーロらしく薄めですが、艶やかで健全な状態のワインであることが分かります。香りはタール、バラの花びらなどクレリコと同じく熟成したネッビオーロらしい要素を持ちますが、パヤナ90年と比較するとスケール感があります。
味わいも同様で約40年経過後もしっかりした果実を保っていて、果実の甘さ、完全に熟成した酸、タンニンが見事に調和しています。香りには少し埃っぽいところがあって、完璧に垢抜けているとは言えませんが、そのちょっと抜けた感じもまた良しです。

1978年は「バローロ・ボーイズ」登場前で醸造技術的には完全に古い時代。このワインは真の意味でのクラシックなバローロが完全に熟成した姿を示す格好のサンプルと言ってもいいでしょう。プルノットの品質は買収前と買収後では差があるという話を聞きますが、こと買収前に関する限りその実力はこのワインから明らかです。


by taurasista | 2017-11-06 07:52 | ワイン(イタリア)

続いてはバルベーラの79年。このシリーズを始める前に78年の同じワインのことに触れましたが、79年は78年のせいで目立たないものの、隠れた優良ヴィンテージ。さて78年の再現はなるか?
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Barbera d'Alba 1979
品種:バルベーラ100%
格付け:DOC Barbera d'Alba
醸造:大樽発酵、熟成は間違いないかと。
アルコール度数:?(記録漏れ)
ブドウ・畑:セッラルンガ・ダルバ Serralunga d'Albaの南端カッシーナ・フランチャ。畑は南から南西向き。
生産本数:不明。

グラスからはフローラルな甘い香りが溢れんばかりに立ち上ってきます。フルーツ、酸、タンニン、いずれも完全に熟成した状態で調和しており、ただただ旨い。パワーは78年の方があった気がしますが、10年の時間の経過を考えると当然でしょう。私の中では伝説となっている78年と肩を並べる最高のワインでした。今年のトップ3入りは間違いなし、いやトップは確定かな。

by taurasista | 2017-11-05 08:54 | ワイン(イタリア)

いつもワインの順番はお店に任せるので、トリの予定のワインが先に出てくることも珍しくはありません。2本目はトリで献杯を予定していたクレリコのバローロ・パヤナのファーストヴィンテージ1990年。

ドメニコ・クレリコはエリオ・アルターレ、ルチアーノ・サンドローネ、パオロ・スカヴィーノなど80年代初頭にバローロを変革した「バローロ・ボーイズ」第一世代に属します。私も一度お会いしたことがありますが、気さくでいかにも親分肌。バローロの変革に試行錯誤しながら取り組み、その成果を惜しげなく仲間や若い生産者に教えてバローロ全体の品質向上に多大なる貢献をした偉大な存在です。
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Barolo Pajana 1990
品種:ネッビオーロ100%
格付け:DOCG Barolo
醸造:資料がありませんが、当時はまだロータリー・ファーメンターは導入されていなかったはずです。熟成はフレンチオークの新樽100%だったかと。
アルコール度数:14.0%
ブドウ・畑:畑はモンフォルテ・ダルバ Monforte d'Albaの銘醸畑ジネストラ Ginestra。標高350mで土壌は砂混じりの粘土が主体。
生産本数:現在は約4〜5,000本/年なので当時はもっと少なかったでしょう。

香りはいかにも熟成したバローロ。タール、バラの花びらといった典型的な要素を感じます。
クレリコのワインは、若いうちはマッチョでタニックという印象ですが、27年経ったこのワインはとても優しい味わいです。果実はあまり強くなく、酸やタンニンもすっかり丸くなっています。全体のバランスは良くて、どんどん飲み進められるのですが、全体としてピークを過ぎた感は否めません。1本目のバルベーラが溌剌とした出来が非常に良いワインだったので、ちょと割を食ってしまったかな。

献杯を済ませて、次のワインに移ります。これが驚くべきワインでした。

by taurasista | 2017-11-04 16:37 | ワイン(イタリア)

この日のテーマはドメニコ・クレリコ追悼とジャコモ・コンテルノのバルベーラ。赤の1本目はバルベーラです。
ジャコモ・コンテルノと言えばそのトップキュヴェであるバローロ・モンフォルティーノ Barolo Monfortinoが象徴の「バローロの帝王」である訳ですが、素晴らしいのはバローロだけではありません。これまで彼らのワインは60年代のものから色々飲んできましたが、かつて生産していたドルチェットやフレイザ、そして今回ご紹介するバルベーラと、どの品種も抜群の美味しさを誇っています。特に印象深いのが大分以前にこのブログでもご紹介したバルベーラ・ダルバ78年。優雅で官能的で10年近く経った今でも記憶に鮮明なワインです。
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Barbera d'Alba Cascina Francia 2007
品種:バルベーラ100%
格付け:DOC Barbera d'Alba
醸造:詳細は公開されず(訪問時のノートが見つかれば何か情報があるかもしれませんが)。大樽発酵、熟成は間違いないかと。
アルコール度数:14.0%
ブドウ・畑:セッラルンガ・ダルバ Serralunga d'Albaの南端カッシーナ・フランチャ。畑は南から南西向き。
生産本数:不明。

以前は単にバルベーラ・ダルバを名乗っていましたが、チェレッタ Cerrettaの区画を購入したためか、カッシーナ・フランチャの名前が加わりました(確かこのヴィンテージからだったと思います)。なお、最近のヴィンテージではカッシーナ抜きのフランチャになっています。
黒系のフルーツ、スミレ、バルサミコなど豊満な香りがグラスから放たれ、期待が高まります。バルベーラにしてはかなり大柄な作りで非常に凝縮しています。構造はシルキーでジューシーさに溢れています。バルベーラらしい強い酸は10年経っても健在で、見事に果実と融合して長いアフターまで続いていきます。非常に暑いヴィンテージ2007年らしい果実味の強さを持ちつつ、見事なフィネスを持つハイレベルのワインです。参加者の一人がこれがあれば他のバルベーラはいらない、と言い切っていましたが、その気持ちもよく分かります。

この生き生きした果実味と酸なら、相当長命なワインになりそうなので、残りのストックはしばらく寝かせておくことにします。

by taurasista | 2017-11-03 22:36 | ワイン(イタリア)