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クエンホフのワインには以前から馴染みがありますが、このヴェンデミア・タルディーヴァ(遅摘み。フランス語のヴァンダンジュ・タルディヴです)は初めてです。このワインの存在自体を知ったのが約1年前。たまたまLAのワインショップのサイトをザッピングしていて発見しました。この遅摘みシルヴァネール、ググっても何も引っかからないので、2004年ヴィンテージのみ試験的に作った超レア物ではないかと推察します。

クエンホフはアルト・アディジェ北側のイザルコ渓谷 Valle Isarco (ドイツ語ではEisacktaler)から現れた(おそらく)最初の高品質小規模の個人経営ワイナリー。初ヴィンテージは確か1990年でその前はこの地のご多分に漏れずノヴァチェラ修道院 Abbazia di Novacella(ここもいいワインを作ります)にぶどうを売っていました。
生産本数は年間3万本程度の小さなカンティーナですが、ヴァレ・イザルコの白の品質の高さを世に知らしめたのは、このクエンホフとAbbazia di Novacellaと言ってもいいでしょう。

ヴァレ・イザルコはその名の通りアディジェ川とアルプスに挟まれたわずかな平野と斜面という小さな生産地です。その中心が中世から栄えたアバツィア修道院。作り手は修道院の北側かつアディジェ川の東側に集中していますが、クエンホフだけは修道院の南側かつ川の西側に位置しています。2011年春に訪問した際の写真で掲載できるものがないのが残念ですが、カンティーナは恐ろしく整理整頓されていて、大樽とステンレスタンクが塵一つない床に配置されていたのを鮮明に覚えています。とても印象的だったのがそこで試飲したシルヴァーナ。ミネラリーで優しい甘みを持ち、整然と整った味わいの素晴らしいワインでしたが、さてこの幻の遅摘みはいかに?

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Alto Adige Valle Isarco Sylvaner Vendemmia Tardiva 2004
品種:シルヴァーナ100%(日本での一般的な表記はシルヴァネールですが、現地ではシルヴァーナと発音します)
格付け:DOC Alto Adige Valle Isarco
醸造:乳酸発酵は行わない。シュール・リーでアカシアの大樽およびステンレスタンクで熟成。
アルコール度数:14.0%
ブドウ・畑:畑は南東向きで標高550-700m。土壌はシスト、水晶などを多く含む。密植度は8,000本/ha。栽培は認証はないがオーガニック。
生産本数:不明ですが相当に少ないこと間違いなし。おそらく1,000本以下でしょう。

色合いはかなり色が濃く、熟成を感じさせるもの。白い花やハチミツが香る、美しく繊細な香り。通常のキュヴェだと重心が高めの厳しさを持った味わいですが、ほのかに感じる残糖分のおかげで優しさ、複雑さが増しています。クエンホフらしい塩っぽいミネラルはもちろん健在。酸は落ち着いていますが、フレッシュ感は衰えていません。凝縮感も十分で、ヘビー級を並べた赤の後でも美味しく味わうことができました。

通常キュヴェに遅摘みによる個性が加わってパワーアップした非常に高レベルの白ワインです。また訪問の機会があれば、このワインが生まれたバックグラウンドをぜひ聞いてみたいと思います。

by taurasista | 2017-10-28 23:48 | ワイン(イタリア)

Isliedh、これまで見たことがない言葉ですが、ワイナリーのオーナー Sybrand van der Spuyの最初の孫娘さんのお名前とのこと。発音は「アイレイ」。ウイスキーで馴染みがある名前ですね(地元では「アイラ」と発音するようですが)。

ケープ・ポイント・ヴィンヤーズは白ワインのスペシャリスト。ケープタウンの町の南側、ケープ半島の付け根部分のヌールトフック Noordhoekが本拠地で、このIsliedhは3種類作るソーヴィニオンの最上級ラインになります。この頃のワインメーカーは昨年完全に独立してケープ・ポイントを離れたダンカン・サヴェージ。
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Sauvignon Blanc Isliedh 2012
品種:ソーヴィニオン・ブラン75%、セミヨン25%(ブレンドはヴィンテージによって異なります)
格付け:Wine of Origin Cape Town (バックラベルにはCape Pointと書いてありますが、Cape Townが正解かと。)
醸造:600リットルの樽(新樽50%、1回使用済み50%)で10ヶ月熟成。
アルコール度数:14.0%
ブドウ・畑:南向きの粘土・花崗岩土壌の畑から。
生産本数:不明

強いワインだと予測して約6時間前に抜栓しましたが、飲み始めた時にはまだばつばつ。黄桃、パッションフルーツの香りが強烈に鼻をくすぐります。味わいも凝縮していて、パンチが効いています。フルボディで果実、酸、そして塩っぽいミネラルを強く感じます。ダンカン・サヴェージ自身のワインと違ってパワーが前面に出たタイプ。もう少し寝かせて落ち着かせた方が個人的には好みかな。

by taurasista | 2017-10-15 15:46 | ワイン(南アフリカ)

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パソ・ロブレスのワイナリー訪問、実はこれが初めてです。このエリアを訪れるのは約2年ぶり。その時はジョルナータというイゾレ・エ・オレーナで修行し、現在はアリアニコやサンジョヴェーゼを生産する作り手のアポ取りを試みましたが、電話が通じず断念。その後も話が出ては消えで、今回ようやく念願が叶いました。

訪れたのはタブラス・クリーク。Rhôneの名門シャトー・ボーカステルがその米国の輸入元と共同出資で90年代初めに設立した、ターリーと並んでこの地域で最初の高品質ワイナリーです。他にもいくつか候補があったのですが、アポなしで訪問できること、最近ワインの評判が非常に良いことからこちらを選択しました。

訪問時期は南カリフォルニアを熱波が襲っていたため、気温はとんでもないことに。到着した午後4時ごろ車の温度計は114°F(46℃)を指していました。110°F超えはこれが初体験です。
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ワイナリーはパソ・ロブレスの街から約20分の丘陵地帯にあります。この場所が選ばれたのは、石灰岩土壌のため。ワイナリーを立ち上げるまで数年間探し回り、たまたま道路工事中で土壌がむき出しだったこの場所を発見したのだそう。
使うクローンは全て本家から持ち込んだもの。現在はアメリカのローヌ品種生産者の多くがこのクローンを使っているということなので、タブラス・クリークがアメリカにおけるローヌ品種の興隆を支えたと言っても良さそうです。
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入り口にはスタイリッシュなウォーターボトルが。
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使用するぶどうは本家のシャトーヌフ・ドゥ・パプと同じ。生産するワインの種類は非常に多く、クーノワーズやピクプールなど超マイナーなものも含む単一品種ライン(ちなみにピノも作っています)、コート・ドゥ・ローヌに当たるコート・ドゥ・タブラス、そしてフラッグシップのシャトーヌフに当たるエスプリ・ドゥ・タブラス。加えてロゼ、若樹から作るパタラン・ドゥ・タブラス、そして最良年のみ作られオマージュ・ア・ジャック・ペランに当たるムールヴェドル主体のパノプリエ、というポートフォリオです。

数種類を試飲しましたが、どれも非常に洗練されたスタイルです。非常に暑い地方ですが、果実味を巧みにコントロールして、いい意味で暑さを感じさせず、タンニンも全くアグレッシブさがなくて、上品。出だしは少し控えめですが、ミッドパレット以降が充実していて、飲み終わった後には爽快感を感じます。値段もエスプリラインで50ドル前後とアメリカのファインワインにしては低い値付けで良心的。

非常に好印象だったので、久しぶりに本家ボーカステルも飲んでみたくなりました。ストックしている98年を近々開けることにします!


by taurasista | 2017-10-14 11:54 | ワイン(カリフォルニア)

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このワインはカリフォルニアのピノの良さを認識するきっかけになった思い出深い一本です。出会いは6年前。場所はサンフランシスコの老舗レストラン ブールヴァード。グラスで提供されていたこのワインが気に入って、カルネロスのワイナリーを訪問、その際に譲ってもらったのがこのボトルです。

ブルー・ファームはピノのスペシャリストドナム・エステート Donum Estateのオーナー アン・モラー・ラックの個人プロジェクト。彼女がドナム設立と同時期の2001年にピノを植樹した自宅裏の畑アンヌ・カテリーナ・ヴィンヤードが最初のワイン。現在はGap's Crown(ソノマ・コースト)とKing Ridge Vineyard(ソノマ地区北端海岸沿いのフォート・ロス・シーヴュー)のシャルドネ、Gap's Crown・King Ridge・1861 Vineyard(ソノマ・ヴァレー)のピノもポートフォリオに加わっています。

個人プロジェクトゆえ生産本数は非常に少なく、2011年当時は取り扱いショップはサンフランシスコ市内の1軒のみ。ワイナリーを訪問して購入するしかほぼ入手手段がない幻のワインでした(現在はワイナリーのウェブサイトで直接購入が可能です)。

Pinot Noir Anne Katherina Vineyard 2009
品種:ピノ・ノワール 100%(樹齢約8年)
格付け:AVA Carneros
醸造:上面開放のステンレスタンクで発酵。熟成はバリック。
アルコール度数:14.3%
ブドウ・畑:土壌は小石混じりの粘土質。
生産本数:不明(最近のヴィンテージは約5,000本/年)

香りは温かみのある黒系のフルーツ。ベリー系というよりも、プルオット(日本では見かけませんが、プラムとアプリコットのハイブリッド)の色が黒いものというのががぴったりきます。甘酸っぱく、かなりボリュームがあり、同時に強いミネラルも感じます。アタックはニューワールドらしく果実味に溢れていて、ほのかに甘みも感じますが、ミネラルに強めの酸、そしてスパイシーさが加わって、複雑な味わいを構成しています。タンニンは柔らかく、スパイシーな余韻が長く続きます。まだ果実味が相当強いので、あと少なくとも5年程度は熟成による変化を期待できるでしょう。6年前に感じた通り、やはり良くできたワインです。

by taurasista | 2017-10-09 16:55 | ワイン(カリフォルニア)