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在英時代の楽しみの一つが休日の郊外でのランチ。当時持っていたゴルフ・カブリオレのルーフを開けて朝ロンドンを出発。高速から南イングランドらしい田舎道の緑のトンネルを抜けてレストランに到着。テラスで美味しい料理とワインを味わい、お庭でくつろいでからまだ明るいうちにロンドンに戻る、というのが夏の週末の最高の過ごし方でした。

イギリスのレストラン評を見てみると、ヨーロッパらしい息の長さで当時20年前から営業を続けているお店も少なくなく、そういったお店がミシュランの星など高い評価を維持しているとちょっと嬉しいものです。今回ご紹介するグレイヴタイ・マナーもその一つになります。
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場所はロンドンのちょうど南側に当たるウェスト・サセックス州。ロンドンからの公共交通機関でのアクセスも簡単で、最寄り駅のEast Grinsteadまで15分毎に電車が走っています。駅からレストランまではタクシーで約15分です。

建築されたのは1598年。19世紀末に著名な園芸家William Robinsonに買い取られ、彼が居を構えたことで有名になりました。彼が亡くなった後にホテルになり、2010年にオーナーとなった実業家Jeremy Hosking(英プレミアリーグ クリスタル・パレスのオーナー)が資金を投じて全体をグレードアップし現在に至る、というのがグレイヴタイ・マナーの簡単な歴史です。一度失ってしまったミシュランの星も今年無事取り戻し、ホテルの評判も極めて高く(ルレ・シャトーにも加盟しています)、投資の効果は確実に出ているようです。最初に訪問した20年前は全体がいい感じに煤けている印象でしたが、現在は建物も庭も見事にメンテナンスされて高級感が数段アップしていました。

まずはマナーハウスのお約束でウェイティング・ルームに通され、ここで食前酒とメニュー選びです。食前酒はイギリスらしくシェリーで。メニューはセットランチではなく季節のメニューから各自選ぶ形にしました。
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[スモークサーモン]
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イギリスらしく前菜はスモークサーモンで。切り方を変えた(どちらも厚切り)2種類に加えてムース。リッジヴューの泡との相性は抜群。

[サウスダウン種のホゲットのロイン、肩肉、胸腺]
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春のイギリスなのでスプリング・ラム、と行きたかったところですが、ラムではなくて少し年齢が上のホゲット(生後12-24ヶ月で永久歯が2本未満)を。ワインはハミルトン・ラッセルのピノで。

そしてイギリス産のみの素晴らしいチーズを満喫。
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サービスはアメリカとは違って適度に距離を置いていますが、親切かつ的確でこれもレベル高し。ロサンゼルスには全く存在しない高い総合力を持ったレストランです。ヨーロッパでは決して珍しくはないけれど。

ちなみに、最近ロスのメディアでミシュランがロスに戻って来ない理由が議論されているのを目にしました(2008年頃に2、3回発行されただけで休刊)。斜め読みする限り、ロスの食のレベルは十分に高く、ミシュランなんてどうでもいい、が全体的な論調でしたが、なんか、違うなぁ。近くにはベイエリアという素晴らしい見本があるし、ちゃんと他の世界を見て自分たちの客観的なポジションを認識したほうがいいと思うのですが。
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by taurasista | 2016-06-13 02:13 | レストラン(その他)

ついつい、一般受けするよりもマニアックなものを追い求めてしまう性分ゆえ、見たことがないものを見つけるとリスクを冒して試したくなってしまう。カリフォルニアのフリウリ品種はまさにその手のワイン。リボラ・ジャラは最近作り手が増えて超レアではなくなったが、レフォスコに出会ったのはこのワインが初めてで迷わず購入。
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アラウホ、スポッツウッド初め多くのナパの一流ワイナリーを顧客とする栽培コンサルタントSteve Matthiasson氏が自ら醸造を行うブティック・ワイナリーがこのマサイアソン。レフォスコは彼が自宅裏に所有する畑でメルローに接ぎ木する形で栽培されている。最初のヴィンテージがこの2009年。ちなみに、彼のウェブサイトの情報によると、カリフォルニアにおけるレフォスコの歴史は(公式には)新しく、1990年代にイタリアからもたらされたとのことだが、結局栽培している人はほとんどいないらしい。

レフォスコの本家本元フリウリでもこの品種を作る生産者はそれほど多くない。2005年にそのうちの一人マリオ・スキオペットを訪問した際に、レフォスコは樹齢が上がらないといいワインが作れないが、樹齢が高いレフォスコを持っているのはミアーニぐらい、あと10年ぐらいたつと他にいいワインが出てくるだろう、という話を聞いたが、それから10年以上経った現在も素晴らしいレフォスコが登場した、なんて話は耳に入ってこない(日本なら情報があるのかもしれないが)。

レフォスコは墨汁のような濃さを持ち、味覚が麻痺せんばかりの強いタンニンを持ち、さらに青みもある、というおそらくワインメーカーにとって大変扱いにくい品種なのがその理由だろうか。個人的にもおいしいものに出会った記憶はほとんどない。ミアーニのカルヴァリぐらいだろうか。これも熟成したものは大変素晴らしかったけれど若いうちは飲めたものではなかった(2004年にフリウリのレストランで思い切って開けてみた99年は苦い味しかしなかった)。

おいしいものに当たる確率が極めて低く、食事とも合わせるのが難しいレフォスコ。外しても「面白いワインだったね」と笑って受け止めてくれる相手でないと開けるのが申し訳なく思えてしまう。よって、なかなか登場機会がなかったが、先日思い切って友人宅に持参してみた。

結果は全く意外な方向に。色は漆黒。香りはかなり熟したプラムにスパイス、獣香、そして青さも。ここまでは予想通りだったが、味わいは良い方向に大きく振れた。非常に滑らかでシルキーな質感で重々しさは全くない(アルコールは低くて今時滅多に見ない12.4%)。ボディの大きさはそこそこだが、きれいな球体をしていて、緻密。この品種らしいインキーさも青さもちゃんと残っていて、いいアクセントになっている。メンバー全員に美味しいと言わせるだけの実力を持っていた。

おそらく、とても気難しいけれど、素晴らしいワインになるポテンシャルがある品種なのだろう。きっと本国でもいいものが作られているはず。今度日本で最新情報を仕入れてこよう。

ちなみに、先日ヴィーニ・ディ・アライでいただいた無名の作り手の71年レフォスコ(これはもちろんフリウリ)も驚きのワインだったので、写真をアップしておきます。
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by taurasista | 2016-06-06 04:24 | ワイン(カリフォルニア)

コングスガードのワインと言うとまずシャルドネが思い浮かぶが、シャルドネ以外にもカベルネ、シラー、ヴィオニエ、ルーサンヌを手がけている。このヴィオルースは名前の通りヴィオニエとルーサンヌのブレンド。ヴィオニエ、ルーサンヌとも超限定版キュヴェのシャルドネを生み出す畑ザ・ジャッジに植えられている。生産量が非常に少なく(ワイナリーのウェブサイトによると2013年ヴィンテージはたったの36ケース。Mianiのカルヴァリ以下!)、流通は極めて限られているが、一般には熟成しないワインだと考えられているためか、時折古いヴィンテージが意外に手頃な値段で市場に現れることがある。このボトルは定期的に購入しているベイエリアの某ショップで見つけたもの。
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香りはパイナップル、黄桃といったトロピカルな果実にミネラル。かなりボリュームがある。味わいはオイリーでねっとりしているが、酸がしっかりしているため重々しさはない。かなり甘みが強いと予想していたが、実際には意外にドライで、分厚くやや塩っぽい味わいがアフターまで長く続く。うまく熟成した白のローヌ品種は独特の色艶を持っているが、このワインは存分にその要素を持っている。

このワインを飲むのはこれが初めて。作り手自身は早飲みするワインだと言っているようだが、このボトルから判断する限り、熟成させる価値は十分にあると思う。



by taurasista | 2016-06-05 04:02 | ワイン(カリフォルニア)