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ダミアンとのお付き合いはちょうど10年になる。2005年の春に訪問したヨスコ・グラヴネル Josko Gravnerで帰り際に玄関で見つけた見慣れないボトル。「自分の一番弟子」だと聞いて興味を引かれない訳はない。翌年フリウリを再訪した際に訪問のアポを取った。ゴリツィア Goriziaの隣町ルチニコ Lucinicoの教会前で小雨が降る中、ペパーミントグリーンの作業着の大柄なお兄さんと無事落ち合って、畑とセラーを案内してもらった。納屋同然の質素なセラーで樽から試飲した2003年の力強さは今でも印象深い。

以来彼のワインは定期的に飲んでいるが、年とともにどんどん安定感を増しているように感じる。以前は揮発的な要素から神経質さを感じることもあったが、近年開けたボトルはどれもおおらかさと洗練を兼ね備えたハイレベルのものだった。
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日本では普通に入手できるダミアンだが、「自然派」後進地のロスではそういう訳にはいかない。行きつけのショップ The Wine Houseはこの系統のワインを常にストックしている少ないお店の一つだが、カプーリャ2009年は50ドル。これにタックス9%がかかる。120円で換算すると約6,500円。ドル高ユーロ安もあってイタリアワインはアメリカでは値頃感があるものが多いが、「自然派」についてはその限りではない。このため、米国に来てからは飲む機会が大幅に減っていたが、先日winebid.comで安めで出品されていたのを見て、早速購入してみた。

常温でスタート。1時間ぐらいでほぼ完全に開いた。香りは非常に高く、丸い。アプリコット、黄桃、蜂蜜、白胡椒など温かみがある香り。味わいも同様で、大柄で包容力がある。力強い果実味、高い酸、貴腐由来と思われる甘みが一体となり、バランスを保ったまま長いアフターまで続く。酸化のニュアンスはあるが、うまくその他の要素と溶け合っていて、ワインに複雑さを与えている。鷹揚でかつ細かいところまで心配りされていて、気持ちを落ち着かせてくれるハイレベルで癒しのワイン。改めて彼のワインの進化を感じた。

by taurasista | 2015-05-31 04:42 | ワイン(イタリア)

ヨハン・ヨゼフ・プリュム。モーゼル地方のみならずドイツで最も有名な作り手の一つだが、ドイツワインに興味を持つようになったのがこの2年ということもあって、飲むのはすごく久しぶり。

リースリングらしいペトロール香、蜂蜜、シナモン、白桃など甘く複雑で魅惑的な香り。味わいは落ち着いていて酸もおとなしくなっている。適度な甘み、滑らかな口当たりが心地よくて飲み口がとてもいい。控えめに過ぎるかな、という気がしなくもないが、コルクの状態が悪くベストのボトルではなかった可能性もあるので、そこは割り引いて考えよう。

ちなみに「ヒンメルライヒ」とはドイツ語で「天国」の意味。ロスらしい快晴の日曜日夕方、明るい太陽を感じながらのディナーの1本目として、味わいといい、名前といいうってつけのワイン。
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by taurasista | 2015-05-29 04:05 | ワイン(その他)

ロッソ・デル・コンテ。シチリアワインの歴史を語る上で欠かせない名前である。90年代の初めまでローマ以北のリストランテでリストされていた南イタリアのワインは3種類のみだったと言う。Mastroberardinoのタウラージ、Cosimo Taurinoのパトリリオーネ Patriglione、残る一つがこのロッソ・デル・コンテ。現在と違って情報入手が難しく未知の世界を知るには自らの足で、舌で経験するしかなかった時代にシチリアにも高品質のワインがあることをイタリア全土に知らしめた功績は非常に大きい。
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初ヴィンテージは1970年。時とともに醸造は変遷、初期はセメントタンクでの発酵、栗の大樽での熟成だったが、90年代初めから徐々にステンレスタンクでの発酵、フレンチオークの新樽100%での熟成に移行。地場品種のみ(メインはネロ・ダヴォラ、一部ペリコーネ Perricone)だったブレンドにも最大30%の国際品種(公表されていないがカベルネだと言われている)が加わり、2000年代中盤には国際色がすっかり強くなったが、ここからやや先祖帰りして新樽比率も国際品種の比率も下がって現在に至っている。

その歴史的価値のせいか、イタリアワインを集中して飲み始めた2000年前後から興味を惹かれて定期的に飲んでいるが、なかなかこれといったものに当たらない。唯一の例外が1988年と1992年。詳しくは2008年12月5日の記事をご覧いただくとして、新樽バリックを使い始めて国際色が強くなってからのヴィンテージは確実に予想した円の中に、それも小さめに収まってしまう。この2003年も例外ではない。樽の要素が強く残り、ジャミーな香り。2003年はシチリアも酷暑のヴィンテージだったと記憶しているが、ボディは小さめ、舌にぴりぴり来る酸は強く、スパイシー。ドライなタンニン。前のめりでアタックはしっかりしているが、その後の持続力はあまり強くない。歴史的な価値のあるワインだけに、また大樽時代の独特の個性を知っているだけに、もうひと頑張りして欲しかったと思う・・・・。

by taurasista | 2015-05-25 07:15 | ワイン(イタリア)

前回のシャルドネと同じくAestusでグラスでオーダーしたもの。こちらもこれまで飲んだ2種類と共通のスタイルを持つ。香りは赤い果実にスパイス。梅っぽい酸っぱさが特徴的で非常にスパイシーな味わい。ボディは控えめだが密度はしっかりしている。暑い日に少し温度低めで軽めの料理に合わせるのが一番似合うかも。
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by taurasista | 2015-05-25 03:22 | ワイン(カリフォルニア)

リオコ Liocoのオーナーの一人ケヴィン・オコナー氏が出資(所有?)するサンタモニカのレストランAestusでグラスでサーブされていたもの。香りはグレープフルーツ、シナモン、白い花、そしてミネラル。味わいは溌剌とした酸が印象的。ミネラリーで少し塩っぽさもある。ボディ、果実味は控えめだが、各要素がコンパクトにまとまっていて、アフターまで整った味わいが持続する。全体的に抑制が効いて、バランスに優れた素晴らしいシャルドネ。食事、特に重すぎないシーフードとの相性は抜群だろう。価格も30ドル台と抑えめなのも好印象。
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by taurasista | 2015-05-24 03:18 | ワイン(カリフォルニア)

出張時に日本から持ち帰ったこちらをジム仲間で超foodieの香港人の友人達と開けてみた。まず香りだが、無濾過、無清澄のビオ系白ワインと共通点があり、酵母やヨーグルトを感じる。味わいは分厚く、極めてドライ、また日本酒としてはかなり酸が強い。温度高めだったがアルコールが強いとは思わなかったので、おそらく度数抑えめなのではないだろうか(表記では16度)。海外の市場を意識しているのか、かなりワイン的な味覚を持った日本酒。最近飲んだワインだとCasa Coste Pianeのプロセッコと少し似ている。
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by taurasista | 2015-05-20 13:12 | ワイン(その他)

先月のIPOBジャパンツアー、現在アメリカのワイン業界で注目を浴びているワイナリーがずらっと揃っていたが、日本での評判はどうだったのだろう?今回紹介するリオコ Liocoも訪日メンバーの一員。カリフォルニアの有名インポーターNorth Berkley Importsの幹部だったマット・リクライダー Matt Licklider氏とLAの有名レストランSpagoのワインディレクター ケヴィン・オコナー Kevin O'Connor氏が2005年に創立したワイナリーである。1990年代からアメリカのワイン界を支配するようになった「大きく、リッチなのがいいワイン」という価値観に違和感を持った彼らが自ら目指すのは品とバランスが良く、食事とともに楽しめるワイン。なるほど、ウェブサイトからもカリフォルニア的な品の良さが感じられる。http://www.liocowine.com/
なお、ワイナリーの名前は両氏の苗字を合わせたものということだ。
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このロゼは無灌漑の樹齢60年以上のカリニャン100%。色合いはかなり淡いサーモンピンク。香りは硬質で甘酸っぱいイチゴ。味わいはこれでもかというばかりドライでややスパイシー。酸はかなり高め。イタリアの地方のトラットリアでお勧めの地元の手頃なロゼを、とオーダーしたら出てきそうなワインだ。ニューワールド的な親しみやすさはなく、ワインだけだと少々とっつきにくさがあるが、味付けが薄くライトな料理、特にシーフードと合わせると力を発揮しそうだ。価格は18ドルとこの手のワインにしては手頃なのも好印象。現在のカリフォルニアワインのスタイルの多様性を語る上でいいサンプルになるワインだと思う。

by taurasista | 2015-05-17 06:24 | ワイン(カリフォルニア)

またまたお気に入りのアントヒル・ファームズの登場。今回は単一畑ものではなく、AVA名がそのまま付いたアンダーソン・ヴァレー。
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ここでアンダーソン・ヴァレーの復習を少し。アンダーソン・ヴァレーが位置するメンドシーノ・カウンティMendocino Countyはサンフランシスコの北約150キロ。カリフォルニア最北のワイン産地である。位置的にはソノマ・コーストSonoma Coastやロシアン・リヴァー・ヴァレーRussian River Valleyの真北というと少しイメージが湧くだろうか。冷たいカリフォルニア湾流の影響で海に近いほど涼しい気候となるカリフォルニア、北部では冷たい霧が海から流れ込む。その影響もあってアンダーソン・ヴァレーはカリフォルニアで最も冷涼なブドウ栽培地の一つである。この地がブドウ産地として知られるようになったのは80年代にロデレールが進出してから。当初はメトド・クラシコによるスパークリング、そしてリースリングやゲヴェルツトラミネールといった冷涼な気候を好む品種が主に生産されていて、赤ワインの歴史は浅い。ピノが注目されるようになったのは90年代中盤。ナパやソノマの生産者たちがこのエリアのブドウを購入し始めたのがきっかけということだが、現在はLittorai、Williams Selyem、Rhysなどを初めとする有名生産者がこぞって進出しカリフォルニアのピノの一大拠点となりつつある。アントヒル・ファームズが最初にリリースしたワインはこのエリアの畑アビー・ハリス Abbey-Harrisとデムス Demuthのブドウを使ったということなので、彼ら発祥の地とも言える。
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アントヒル・ファームズのワインはどれも特徴がはっきりしていて個性を比較するのが面白い。醸造については資料がないが、おそらくどのキュヴェもほぼ同じだと思われる。ブドウの一部は除梗せず発酵は天然酵母のみ。新樽率も非常に低いとのことだ。

さてこのアンダーソン・ヴァレー。色合いは非常に淡いルビーレッド。抜栓直後から香りが高い。スミレ、赤い果実に嫌みのない青みも交じる。ミディアムボディーで酸はかなり高く、酸っぱさも感じるが揮発的ではなく飲みにくさはない。スパイシーなアフター。極めてタイトな作りで非常に冷涼な雰囲気を持つ所謂カリピノとは対極のスタイルだ。単独よりも食事と合わせる方が力を発揮すると思う。近々開けるつもりの同じアンダーソン・ヴァレーの単一畑アビー・ハリスとの比較が楽しみだ。

by taurasista | 2015-05-11 07:14 | ワイン(カリフォルニア)

正確に数えたことはないが、これまで訪問したワイナリー数はおそらく300ぐらいだろう。最近10年以内に訪ずれたところはこのブログに残しているものも多く、しっかり記憶に残っているが、モンテヴェトラーノ Montevetranoは中でも印象が強いカンティーナの一つである。2007年、2008年の2回訪問したが、訪問の前後に起きた出来事、カンティーナのパティオ、オーナーのシルヴィア・インパラート、当時彼女のアシスタントだったAlessiaとのやり取り、そしてもちろんワイン自体、どれも今でも鮮明に思い出すことができる。

このコーレは2011年が初ヴィンテージで品種はアリアニコ100%。同じアリアニコでも厳格なキャラクターを持つ内陸部のイルピーニャのものとは異なり、柔らかで穏やかな印象はモンテヴェトラーノと共通。ワイン単体としてはもう少し凝縮感が欲しいところではあるが、価格も20ドル台と優しく、エチケッタもスタイリッシュで、気軽にモンテヴェトラーノの雰囲気を味わえるとも言える。生産本数がかなり少ないらしく、結構入手困難という話だが、見つけたら前菜あるいは軽めのソースのプリモと一緒に味わってみてください。
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by taurasista | 2015-05-03 03:25 | ワイン(イタリア)