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ドン・チッチョ@南青山

東京きっての予約困難店ドンチッチョ。常連の友人に誘われて一年近く前から企画していた会だったが、諸事情で延び延びになっていて、ようやく先週実現した。

予約は20:45。もちろん満席で、席が空いた瞬間に次のお客さんがやってくる。メニューは魚中心で凝った料理はないが、シンプルで旨い。そして、この店には「いいざわめき」がある。全員ががっつり食べ、そして楽しげに話している。こういう雰囲気は狙っても簡単には出せないが、これがここの最大の魅力だと思う。これがあるから、またその場に身を置きたくなり、通うことになるのだろう。

ワインは5人で4本。特に良かったのがパラーリPalariのロッソ・デル・ソプラーノRosso del Soprano 2003年。パラーリはイタリア本土と最も近い町メッシーナMessinaのすぐ南が本拠地。DOCはファーロFaroで彼らが事実上唯一の生産者。このDOCは彼らの頑張りで生き残り、彼らのFaroは現在ではシチリア最高のワインの一つになった。セカンドラインのRosso del Sopranoの2003年を飲むのは1年半ぶり。シチリア品種のネレッロ・マスカレーゼNerello Mascarese主体のブレンド(全部シチリア品種)。とても温かで優しいワイン。湿った土、赤い果実、森の香り。酸は穏やかだがしっかりしていて、余韻も長い。とてもおいしく、飲み疲れしないワインで、あっという間に空っぽに。

早い時間だとどうやっても予約が取れないので、次回は残業の後にでもトライしてみようと思う。
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by taurasista | 2008-03-31 21:25 | レストラン(日本)

今回はアルバのランチスポットをご紹介。

ここOsteria dei Sognatoriは親愛なる「禿にいちゃん」、そしてこのブログのゴッドファーザー(勝手に店の名前を借用しているだけだけど)であるEnoteca Grandi Viniの若旦那に教えてもらった店。アルバのメインストリートVia Vittorio Emanueleからは少し外れたところにある。気の置けない食堂で、ランチタイムはいつも地元の人たちで満席である。メニューはなく、前菜・プリモ・セコンド、それぞれ食べるか食べないかだけを決める。量は多く、我々でも3皿食べるのに難儀する。上は前菜の盛り合わせ。ハム、ツナサラダなど。下はこのブログに何度も登場しているアニョロッティ。
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ちなみに、ワインは持ち込み可能だが、周りの人たちはみんなカラフェでハウスワインを飲んでいる。赤はドルチェットだった。

安いけど味はなかなかのもの。アルバでちょっとおいしいものを気軽に食べたい時に是非寄ってみてください。
by taurasista | 2008-03-30 16:16 | レストラン(イタリア)

アルド・コンテルノはジャコモ・コンテルノと並んで伝統的バロリスタ(バローロ生産者)の頂点に君臨する作り手である。アルドはジャコモ・コンテルノの前の当主ジョヴァンニの弟で、1960年代に独立して自らカンティーナを興した。私たちをアテンドしてくれたのは、その三男のジャコモ(ちょっとややこしいが、アルドとジョヴァンニのお父さんの名前がジャコモ。イタリアでは祖父の名前を子供につけることは一般的に行われているようだ)。カンティーナはカスティリオーネ・ファレットCastiglione Fallettoとモンフォルテ・ダルバMonforte d'Albaを結ぶ道の中間点にある。カーブを曲がり視界が開けると飛び込んでくる、この辺りではまず見かけない白亜の館が住居兼カンティーナである。

まずはカンティーナ見学から。設備自体はかなり歴史を感じさせるものである。上の写真がバローロを熟成させる伝統のズラヴォニアSlavoniaオークの大樽。下の写真は昔トリノのサヴォイア王家にワインを献上するときに用いられた木樽である。なお、ズラヴォニアはクロアチアの一地方。よくスロヴェニアと混同されているが、これは間違いである。
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父アルドの方針でバローロには一切バリックを使わないが、その他のワインの一部にはバリックを使用するなど、ワイン作りに関してはジャコモ・コンテルノよりもやや柔軟。

見学後テースティング。まず持ってきたのはイル・ファヴォットIl Favot2001年とバローロのベーシックラインであるブッシャ・ソプラーナSoprana2001年。まずはこちらの様子を見てみようということだろうか。

①Il Favot 2001
ネッビオーロ100%。バローロに使わない15年以下の若木のブドウを使用。4-5日でさらっとマセラシオンを済ませ(バローロは3~4週間)、バリックで18か月熟成。非常にフレッシュな香りでミディアム・ボディ。しっかりした酸。気軽に若いうちから飲めるネッビオーロ。

②Barolo Bussia Soprana 2001
バラの花、スミレ、血などが要素の混じりけのない香り。多量の酸、タンニン。テクスチャーは非常に滑らか。伝統的なバローロらしいワインで、飲み頃まであと3-5年必要か。Bussiaの樹齢約30年の畑から。

テースティングしながら、これまで訪問したカンティーナやレストランの話をしているうちにすっかり打ち解けた。すると、君たちのような情熱のある人たちとは一緒に飲みたい、と言って出してくれたのが残るバローロ3種類。

③Barolo Cicala 2001
平均樹齢45年、海抜430mの単一区画Cicalaから。香りのニュアンスは②と似ているが、更に甘く、赤いフルーツの要素をより強く感じる。力強くきめの細かい大量のタンニン。熟した果実の甘さを感じ、バランスもばっちり取れている。余韻は非常に長い。素晴らしいバローロ。なおCicalaはコオロギの意味。

④Barolo Colonello 2001
Cicalaとキャラクターは似ているが、香りはよりフローラルで、酸も高く、全体的に少しだけ優しいワイン。これも余韻が非常に長い。

⑤Barolo Gran Bussia 1999
これは単一区画ではなくRomirasco70%、Cicala15%、Colonello15%のブレンド。Romirascoは93年まで単一区画でボトリングされていたが、この当時はブレンドのみで使用。2004年から単一でのボトリングを再開。最良年のみ作られる。ファーストヴィンテージは1971年。Cicalaを更に一段と力強く、そしてシルキーにした感じ。そして甘い。口の中で小さな爆発があったかのようなインパクト、そして持続性。まだまだ若いが、今の時点でも飲んでいて幸せを感じる。この翌年飲んだMonfortino99年と同格の真のgrande vino。
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<訪問:2005年5月>
by taurasista | 2008-03-29 15:38 | カンティーナ訪問

最近買ったワイン

年度末のせいか、最近いくつかのお店から「全品10%引き」とか「ポイント10倍」というメルマガが届いた。それにつられて買ってしまったのはこんなワインたち。

<白>
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Manna Vigneti delle Dolomiti 2006 (Franz Haas)
アルト・アディジェの名手フランツ・ハース。どのワインもおしなべてレベルが高いが、白のフラッグシップがこのManna。シャルドネ、リースリング、トラミネール、ソーヴィニオンのブレンド。Mannaはまだ飲んだことがないので、どんなワインなのかとても楽しみである。G/Wに友人を自宅に呼んだ時にでも開けてみよう。

Greco di Tufo 2006 (Pietracupa)
フィアーノは以前紹介したが、こちらはグレコ。フィアーノは数回飲んでいるが、グレコはまだなので、こちらも楽しみ。

<赤>
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Montepulciano d'Abruzzo Toni 1999 (Conte Cataldi Madonna)
Montepulciano d'Abruzzo Colline Teramane Adrano 2003 (Villa Medoro)
Montepulciano d'Abruzzo Villa Gemma 2001 (Gianni Masciarelli)

秋に初マルケ・アブルッツォ行きを計画しているので、そろそろ勉強してみようと思って買ってみたモンテプルチアーノ・ダブルッツォ3本。Cataldi MadonnaとVilla Medoroは新進の作り手で最近非常に評価が高い。マシャレッリMasciarelliはEdoardo Valentiniと並ぶアブルッツォで最も有名な生産者。どれもモンテプルチアーノ種100%でバリック使用。この中では超メジャーなマシャレッリもフラッグシップのこれはまだ飲んだことがない。3本とも果実味も酸もバリックもどかんと来る非常に強いワインだろうと予想しているが、結果はG/Wのホームパーティー後にレポートします。
by taurasista | 2008-03-26 21:41 | ワイン(イタリア)

昨日一年振りにランチで訪問。最近、直前では予約が取りにくいという話を聞いていたが無事滑り込んだ。場所は駒沢通り沿いの広尾というか恵比寿というか表参道というか微妙なところ(どの駅から歩いても15分ぐらい)。

前回は夜だったので感じなかったのだが、通り沿いに窓が大きく取られているため非常に店内が明るい。テーブルはゆったりと配され、中央には大ぶりな花が。噂通り満席である。

ランチは前菜・プリモ・セコンド・ドルチェ・カフェの3,800円のコースのみ。以下私がオーダーした料理。

<突き出し>琵琶湖の稚鮎のフリット
さくさくした食感に完璧にフリットされていた。一気に完食。

<前菜>鰯のベッカフィーク風
ベッカフィークとはシチリアの料理法で、松の実やアンチョビを入れたパン粉をまぶしたソテー。複雑ではないが、親しみのもてる料理。これも火入れは完璧。

<プリモ>羊(確か)のラグーのショートパスタ
<セコンド>豚ロースのロースト
ランチだからか、前回の印象とは違って非常にストレートな料理。どちらもいい素材を丁寧に調理した、という感じ。シンプルに、旨い。

ワインは2本。
①Prosecco (Casa Coste Piane)
昨年11月のヴィナイオータの試飲会に来ていた作り手。イタリアの自然派生産者と連絡を取りながら醸造を工夫している、と言っていた。。色は完全に濁っている。ヨーグルト、リンゴにかすかに蜂蜜の香り。ボディもプロセッコにしては大きい。若干甘味を感じるものが多いプロセッコにしては非常にドライな作りだが、テクスチャーは柔らかい。個人的には好きなワイン。

②Langhe Freisa Toetto (Giuseppe Mascarello)
ヴィンテージは失念。一瞬「ネッビオーロ?」と思うようなバラ的な香りがある。ミディアムボディで酸、タンニンとも柔らかい。いい意味で主張が強くないワインなので、食事とのアッビナメントも広いだろう。

お値段は一人9,000円弱。この値段でこれ位の料理とワインが楽しめるのは本当に素晴らしいことである。

ところで、一言で「良かった。また行きたい。」と総括するのは簡単だが、東京にはそういうお店が多いし、基本的にいいと思ったお店しか書かないことにしているので、これではみんな同じになってしまう。Gambero Rossoの出している"ristoranti d'Italia"というガイドでは、お店を100点満点で評価している。内訳は料理60点、ワイン20点、サービス10点、雰囲気10点。これにボーナスポイントが3点。別途コストパフォーマンスの評価もある(3段階)。ここまでとは言わなくても、料理8、ワイン6、サービス2、雰囲気2、ボーナス2(コストパフォーマンス他)の20点満点評価ならできるかもしれないな、とちょっと思うが、それでも16~18点ばかりになってしまうのでしょうね。。。。。。
by taurasista | 2008-03-24 11:55 | レストラン(日本)

ピエモンテ訪問まであと2週間少し。徐々に手配も始めて気分も盛り上がってきたので、出発までピエモンテものを続けることにします。まずはバルバレスコBarbarescoの名手ブルーノ・ロッカ訪問記から。

バルバレスコはバローロと並ぶネッビオーロの代名詞的存在だが、ガヤGaja、ブルーノ・ジャコーザBruno Giacosa、そしてラ・スピネッタLa Spinetta以外は存在感が薄い気がする。この3者が余りに有名な分、他の作り手が目立たなくなってしまっているのだろうか。一般的には、バルバレスコは土壌がバローロに比べると砂質がやや強いこともあり、バローロが男性的とすれば、より女性的で優しいネッビオーロで、バローロよりも早く飲み頃が来る。バローロほど有名でない分、価格も控えめである。(97年ヴィンテージ以降のガヤと最近のジャコーザの赤ラベル=リゼルヴァの価格高騰は凄まじいものがあるが。)

バルバレスコは本当に静かな村である。日中でさえ殆ど人通りもなく、犬の鳴き声のみが聞こえてくると言ってもいい位。その村の中心に鎮座しているのがガヤ。門は常に閉ざされ、業界関係者以外の訪問お断り、との掲示がある。その近くには共同組合だが素晴らしいバルバレスコを長年に渡り作り続けているプロドゥットーリ・デル・バルバレスコProduttori del Barbaresco。後は村営の試飲施設とミシュラン一つ星のリストランテのアンティネAntine。これが全てである。

ブルーノ・ロッカは村の中心から車で約5分のところに位置する。カンティーナの裏側がバルバレスコ最高の区画一つラバヤRabajaで、ブルーノは8ha中5haを所有している。初ヴィンテージは78年。平均樹齢は30~35年。このラバヤ、石灰質と砂が交じる、強くかつ香り高いワインができるテロワールである。ブルーノは不在だったが、娘さんのルイーザLuisaがアテンドしてくれた。
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いわゆる伝統的な作りではなくロータリー・ファーメンターやバリックを使うのがここの手法。バルバレスコは7~8日と短期間のマセラシオンで、50%が新樽で熟成される。ワインはどれも非常に男性的でパワフル。試飲させてもらったのは以下の6種類。

1. Dolcetto d'Alba Vigna Trefole 2004
Trefoleはラバヤの下に位置する区画。発酵・熟成ともステンレスタンクで行いバリックは使わない。非常に凝縮されたドルチェットでバランス良し。

2. Barbera d'Alba 2003
ステンレスタンクで発酵、熟成はバリック。ブラックベリーやチョコレートなど強い香り。まだかなり固く飲み頃まで1~2年必要。樽は感じるが全然嫌味ではない。これぐらい強いバルベラはなかなかないと思う。バランスも良い。パワフルなワインが好きな人のツボにはぴたっとはまるワインだろう。

3. Langhe Rosso Rabajalo 2003
カベルネ50%、ネッビオロとバルベラが25%ずつ。カベルネらしくカシスが香る。樽は強めでアルコールも強く感じる。これもパワフル。本当は"Cabajalo"にするつもりが、エチケッタをRabajaloにミスプリされたので、結局それが名前になったとの裏話をルイーザが教えてくれた。

4. Barbaresco 2003
主に若樹から作られる。色は薄目でサクランボウやバラの香り。タニックでアフターは若干短め。

5. Barbaresco Coparossa 2003
バルバレスコ村ではなく、ネイヴェNeiveとトレイゾTreisoの区画をブレンドしたもの。ネイヴェは石灰質、トレイゾは砂質+砂利質。パワフルでタニック。巨大なタンニンが口の中を覆い尽くす。暑い年のせいか酸は中程度。凝縮感は凄い。あと5年程度は必要か。

6. Barbaresco Rabaja 2003
Coparossaよりもミネラル感が強く、香りもよりエレガントかつ豊か。他のワインにも増して非常に筋肉質でマッチョなワイン。余韻は非常に長い。これもあと5年は必要か。熟成とともに洗練されてくれば素晴らしいワインになるだろう。ルイーザによると、コパロッサよりもラバヤの方が飲み頃になるまでだいだい1年ぐらい長くかかるとのこと。

残念ながら2001年がファーストヴィンテージのBarbaresco Riserva Maria Adelaide(Maria Adelaideはブルーノのお母さんの名前)は売り切れで試飲できなかったが、彼らのスタイルがよく分かる非常に興味深いテースティングだった

訪問後アルバで立ち寄ったエノテカ(このブログのタイトルを拝借したEnoteca Grandi Vini)でMaria Adelaideを見つけ迷わず購入。ロッカのエチケッタは、中世の修道僧が使っていた羽根ペンをモチーフにしたスタイリッシュなものだが、このRiservaは他のワインとは異なり濃い緑を基調にしていて、一段とかっこいい。約3,000本しか生産されていないレア物である。左がBarbaresco Rabaja、右がMaria Adelaide。
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ところで、訪問の終盤にルイーザの友人がやって来た。すぐに仲良くなり、次回はアルバのクラブに行こう!と盛り上がったのだが、まだその約束を果たせずにいる。きっと我々のことを自分たちと同じ20代だと思ったのだろう。若く見られるのも悪いことではない。

<訪問:2006年4月>
by taurasista | 2008-03-22 14:36 | カンティーナ訪問

フリウリシリーズを締めるのはやはりこの人をおいて他にない。ヨスコ・グラヴネル。イタリア最高の白ワイン生産者と言われ、フリウリのみならずイタリア全土のワイン作りに多大な影響を与えた人物である。自然なワイン造りを追い求めて常に変化を続けつつ、現在もイタリアワイン界のトップに位置する生産者。

カンティーナはゴリツィアGorizia近郊のオスラヴィエOslavjeにある。すぐ向こうはスロヴェニア。看板がなく場所が分からなかったので、道端の人に尋ねたら、隣の家がそうだった。確か庭にアンフォラが転がっている。息子のミハ君Mihaが出迎えてくれた。長身。190cmはあるだろう。英語が非常に堪能である。

まずは畑を見せてもらう。畑は20ha。カンティーナの周囲で数か所に分かれている。スロヴェニア側にもあるそうだ(下の1枚目の畑の途中からはスロヴェニア)。畑の標高は平均海抜180m。自然な栽培をこころがけ、基本的にはオーガニックである。この辺りは2回の世界大戦の激戦地。畑の中には不発弾が転がっている。本当は警察に報告義務があるのだが、そうすると畑作業が当分できなくなるので、そっと畑の隅にどけておくのだそうだ。なお、不発弾の爆発で親戚の方が数年前に亡くなられたそうである。ミハが手に持っているのが不発弾のかけらである。
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さてカンティーナに戻ると、パパグラヴネルは瓶詰めの真っ最中だった。これを横目にミハに醸造方法を説明をしてもらう。2001年ヴィンテージからは極めて単純な方法に統一している。ブドウは100%除梗後するだけで、グルジア製のアンフォラ(素焼の壷。サイズは12~26hl。)にそのまま入れる。床で口を開けているのがアンフォラである。
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酵母はもちろん天然酵母のみ。1日に数回ピジュアージュだけ行う。そうしているうちに勝手にワインができるので、約7か月後に取り出してプレス、アンフォラに戻して5ヶ月後に大樽へ。そこで熟成させて、収穫から約4年後にリリース、とこんな感じである。アンフォラの使用は「自然なワイン造り」を追い求める中で、最初にワインが作られた方法であるこれに行き着いたとのこと。97年に始めたが、最初の頃は要領がわからず、気付いたらワインが全てアンフォラから抜けてしまっていたこともあったそうだ(ビーズワックスを内部に塗ることで解決)。SO2はボトリング時に若干添加するのみ。

セラーに移動して、大樽から2002年と2003年をテースティング。白はブレンドのブレッグBreg(シャルドネ、ソービニオン、リースリング・イタリコ、ピノ・グリージョ)と単一品種のリボッラ・ジャラRibolla Giallaの2種類。02年と03年は対照的な年で、02年は雨が多く、03年は暑く全く雨が降らなかったとのこと。確かに凝縮感には差があるが、基本的な構造は共通している。長いマセラシオンで果皮から抽出されたタンニンから来る収斂性、テロワール由来の非常に強いミネラル感。個人的にはより凝縮され、甘味も強い2003年の方が好みである。2003年のブレッグBreg(試飲したのはピノグリをブレンドする前のもの)は蜂蜜、桃などのフレーバーに溢れた巨大な素晴らしいものだった。

そして赤に移る。まずはルーニョRujno2003年。最良年のみ作られるメルロー100%のワインである。樹齢は25~30年でブドウは単一区画から。これまた凄い凝縮感である。ブラックベリー、プリューンなどがグラスから鼻を直撃する。強くて甘いがとてもシルキー。このワイン、6年大樽で熟成の後は4年間瓶内で熟成される予定である。リリースは2013年。飲めるのはまだまだ先である。そして、最後に地場品種ピニョーロPognoloの2003年。まだ樹齢が低いため、品質には満足していないとのことだったが、レザーやスパイス系が香る、タニックで頑強なワインだった。これも6~7年大樽熟成、4年瓶内熟成とのことである。

手が空いたヨスコがセラーに来てくれた。眼光鋭く、きっちりした服装をしていれば学者かと思うような風貌である。こっちのイタリア語力などお構いなしにマシンガンのように喋る。曰く「ワインは生き物だ。ヴィンテージ差があるのは当たり前。」「ワインはコーラじゃない。工業製品じゃないんだ。1本1本違いが出ることだってある。」などなど、彼の哲学を一気に語る。その迫力たるや凄まじかった。

こういった哲学的な部分は必ずしも全員の賛同を得られるものではないかもしれないが、当たった時の彼のワインは本当に驚くべきものである。Bregの2000年はここ数年で飲んだ白ワインの中では間違いなくトップ3に入る傑作である。彼のワインは、白=ブルゴーニュのシャルドネ、と心底思いこんでいる人には少し理解が難しいかもしれないが、是非先入観なしに飲んでみて欲しい。きっと新しい白ワインの世界が開けるだろう。

今後はリボッラ、ピニョーロなど地場品種に特化していきたいので、シャルドネやカベルネ(このとき試飲していない赤ロッソ・グラヴネルRosso Gravnerに使用)は栽培を止めるかもしれないとのこと。醸造方法もまた新たな進化を遂げるかもしれない。伝統を重視しつつもラジカルなこの人たち、今後どこに行こうとしているのか、また是非訪問して確かめてみたい。
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<訪問:2005年4月>
by taurasista | 2008-03-20 17:29 | カンティーナ訪問

先週5年振りにフーデックスに行って来た。ランガ・インLanga Inというグループで出展しているピエモンテの生産者達に会うためである。前日の夜インプリチトで彼らと仲良くなり誘ってくれたので久しぶりに幕張まで足を延ばすことにした。

ランガ・インは約15の生産者を取りまとめているが、顔ぶれはなかなか凄い。ドメニコ・クレリコDomenico Clerico、コンテルノ・ファンティーノConterno Fantino、ブルーノ・ロッカBruno Rocca、カウドリーナCaudorina、マルヴィラMalvira、モンティMontiなどなど。今回特に仲良くなったのはコンテルノ・ファンティーノの息子のファビオFabio君。コンテルノ・ファンティーノはモンフォルテ・ダルバMonforte d'Albaを本拠地とする最高のバローロ生産者の一つである。バローロ以外にもネッビオーロ・バルベラにカベルネを少量加えたブレンドのモンプラMonpra、バルベラ、ドルチェットを生産。ドルチェットは今回初めて試飲したが、非常に力強い。モンフォルテのテロワールが素直に表現されている。

このファビオ君、まだ20代でColdplayのリーダーのクリス・マーティン似。大学卒業後ニュージーランドで収穫等を経験してから実家に戻ったとのこと。彼は自分たちだけが良ければいいとうのではダメで、地域全体を盛り上げることが必要と力説、仲間のワインを熱心に来訪者に勧めていた。自分たちの本拠地モンフォルテへの思いは熱く、最近作ったというモンフォルテの畑の地図で色々な作り手の畑の場所、特徴を懇切丁寧に教えてくれた。フラッグシップであるバローロ・ソリ・ジネストラBarolo Sori Ginestraはジネストラの畑から。クレリコのバローロ・チャボット・メンティン・ジネストラBarolo Ciabot Mentin Ginestraと同じで、カシスやプラムの香りに溢れた力強いワインができるところ。昨年11月にラ・グラディスカでこの90年を開けたが、大変素晴らしいワインだった。

4月のピエモンテ訪問の際には是非寄ってくれ、とのことで、カンティーナを訪問、そしてそのあとにトラットリア・デッラ・ポスタで一緒に夕食を取る予定である。今から楽しみだ。下の写真はソリ・ジネストラと並ぶフラッグシップのバローロ・ヴィーニャ・デル・グリBarolo Vigna del Grisの90年。
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by taurasista | 2008-03-19 23:13 | カンティーナ訪問

この数年、誕生月の3月に手持ちのものから選んで熟成バローロの会を催している。今年は誕生日の前日に開催。場所はラ・グラディスカ。昨年春開店したこの店の堀江シェフ、ピエモンテはアクイ・テルメAqui Termeのリストランテ「ピステルナ」の立ち上げにシェフとしてたずさわり開店早々にミシュランの星を獲得するなど、日本で活躍するイタリア料理のシェフの中でも最高の経歴を持っている方の一人である。

一方、ワインはバローロ近年最高のヴィンテージの一つと言われる1990年。バローロ5大産地(ラ・モッラLa Morra、バローロBarolo、カスティリオーネ・ディ・ファレットCastiglione di Falletto、モンフォルテ・ダルバMonforte d'Alba、セッラルンガ・ダルバSerralunga d'Alba)から一種類ずつこういったものを選んでみた。

Barolo Estate Vineyard 1990 (Marchesi di Barolo) ~ バローロ
Barolo Cerequio 1990 (Roberto Voerzio) ~ ラ・モッラ
Barolo Rocche 1990 (Vietti) ~ カスティリオーネ・ディ・ファレット
Barolo Lazzarito 1990 (Vietti) ~ セッラルンガ
Barolo Cicala 1990 (Aldo Conterno) ~ モンフォルテ

更に比較のためVoerzioの89年。そしてアペリティーヴォとして最近品質向上が著しいピエモンテ東部トルトーナTortona地区の白コッリ・トルトネージ・ティモラッソColli Tortonesi Timorasso 2006年(La Colombera)
以下テースティングノート。

①Colli Tortonesi Timorasso 2006 (La Colombera)
グレープフルーツ、ホワイトレーズンにほのかな白コショウのニュアンス。きりっとした酸が清涼感を与えている。余韻も長い。なかなかいいワイン。
②Barolo Estate Vineyard (Marchesi di Barolo)
バラ、タールといった典型的な熟成したネッビオーロの香り。決して巨大なワインではないが、とても均整がとれていて、非常に好印象。きりっとした酸の質が素晴らしいせいだろう。食事の最後まで全く落ちず。Marchesi di Baroloはバローロの作り手としては規模は大きいが品質は中程度という印象だったのだが、このワインは非常にいい。これが今日のベストと言う人もいた。
③Barolo Cerequio 1990 (Roberto Voerzio)
香りは最初は閉じていたが、グラスの中で徐々に開いてきた。とても甘い香り。少しジャムぽっさ、土っぽさもある。熟成したニュアンスは全くない。酸はしっかり。90年のバローロの特徴の一つである甘さも強い。まだ完全には仕上がっていないという感じがする。あと最低2、3年は必要か。
④Barolo Cerequio 1989 (同)
90年よりかなりクラシックなバローロのイメージ。紅茶やブランデーのニュアンス等、熟成したネッビオーロの感じが非常によく出ている。フルボディで酸は高くフルーツもまだまだばっしっと残っている。同じ作り手、畑なのに90年とはかなり違う。個人的には89年の方が好み。
⑤Barolo Rocche (Vietti)
これまでの3本とは異なってフローラルな優しい香りが際立っている。それに紅茶やミントのニュアンスが加わったとても複雑な香り。口に含むと、香りと同じでアグレッシブさが全くなく優しいまま余韻が長く続く。タンニンはとても肌理が細かく、優しい甘さが全体を覆う。かなり素晴らしいワインで今がちょうど飲みごろか。個人的には今日のナンバーワン。
⑥Barolo Lazzarito (Vietti)
血、レザーなど、動物系の香りが支配。鉄分強い。タンニンも強い。同じ作り手だが上のRoccheとは全く個性が違い、ワイルドさが際立つ。若干エレガントさには欠けるが、とにかくパワーで押しまくるという感じ。
⑦Barolo Cicala (Aldo Conterno)
いわゆる伝統的バローロ。レザー、生肉など獣系の香りが基調で、さらにプラムなど。フルボディーで非常に強いタンニンが口から離れない。構成は緻密でもう十分飲めるが、理想を言えばもう少し置いて更にニュアンスが増してから飲みたい。

そして、Shigetti君が差し入れてくれたBarolo Riserva Speciale 1967。生産者はLuigi Calissano。今はもう存在しない作り手と思われる。それほど複雑さは出ていなかったが、きれいに熟成していた。
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料理も素晴らしい。特にピエモンテの代表的なパスタのアニョロッティ・ダル・プリン。見た目シンプルな料理だが、具に色々な肉が使われとても滋味深い。セコンドは鹿肉の煮込み。アニスなど色々なスパイスを使っていて、複雑な味わい。誕生日スペシャルということで、今回は全部の料理の写真を載せます。

<つき出し:豚のテリーヌ>
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<前菜①:鴨肉のサラダ仕立て>
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<前菜②:白アスパラ>
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<プリモ:アニョロッティ>
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<セコンド:鹿肉の煮込み>
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<ドルチェ~誕生日バージョン>
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美酒美食を愛する気の置けない仲間たちにこういう形で誕生日を祝ってもらうのは、本当に嬉しいことである。参加してくれた皆さん、本当にありがとう!
by taurasista | 2008-03-16 23:40 | ワイン会

3年ほど前からワイン・料理の嗜好が変わってきた。以前は所謂いい(≒高級な)ワインに目が行きがちだったし、料理もシンプルなものよりも凝ったものを求めていたが、今はバランスの良さを重視するようになった。1回飲んだり食べたら当分はいいや、と思ってしまうようなインパクトが強すぎるものよりも、またすぐにでも飲みたく、食べたくなるような行き過ぎたところがないもの。価格とクオリティのバランスがよく、何度でも抵抗なくお金を使えるもの。新しいお店を手当たり次第試すのではなく、こういう体験ができるお店とじっくり付き合いたい、と思うようになった。幸いそういうお店を何軒か持つことができたのだが、ここオステリア・スプレンディドはその一軒である。開店は2006年の10月。場所はインプリチトの地下。開店当時から定期的にお邪魔しているが、特に最近は料理が高いレベルで安定していて、いつも満足度が非常に高い。今回は人数が6人と多かったので、全部お任せでお願いした。

旬のものを是非、ということで、前菜からセコンドまで早春らしい食材尽くし。サクラダイに始まり、菜の花、白魚、ソラマメ、アスパラといった面々である。前菜は盛り合わせで、パスタ・セコンドは2種類ずつ。今回のパスタとセコンドは本当に素晴らしかった(勿論前菜も)。パスタの一皿目は白魚と菜の花をあえたスパゲッティ。フリットされた白魚の食感と菜の花のほろ苦さをオリーブオイルがまとめている。二皿目は更に良い。リグリアLiguria地方の手打ちパスタ「ストラッチ」(ハンカチ、布切れの意味。切手大の平べったいパスタ。)を鶉のラグーとソラマメで。ラグーにコクがあり、あっという間に完食。セコンドは2点盛り。まずは兎のフリットをアスパラ(これもフリット)添えで。シンプルな料理だが素材の力がみなぎり美味。兎嫌いの友人もペロッと食べていた。そして梅山豚(メイシャントン)とちりめんキャベツの煮込み。これも見た目はシンプルな料理だが、口に入れるとほろほろと肉は崩れつつも旨みがいつまでも口の中に残っている。ワインならまさに"grande vino”(グラン ヴァン)である。

こちらはグラスワインも約20種類あるのだが、今回はボトルで3本。まずはピエロパンPieropanのソアヴェ・クラシコSoave Classico 2006年。ソアヴェ最高の作り手のベーシックラインである。単一畑もの(カルヴァリーノCalvarinoとラ・ロッカLa Rocca)ほどの凝縮感はないが、きりっとした酸とミネラル感が特徴のバランスがいいワインで前菜にはぴったり。2本目の白はアブルッツォAbruzzo州からマッラミエーロMarramieroのトレッビアーノ・ディ・アブルッツォ・アニマTrebbiano di Abruzzo Anima 2006年。ややトロピカルフルーツのニュアンスがあるが、程よくコントロールされており、若干アフターに苦みもあるので、特に一皿目のパスタと相性良し。赤はカンパーニャ州からアリアニコAglianico 2005年。作り手はアイア・デイ・コロンビAia dei Colombi。ベネヴェントBenevento近郊で2002年創立の新しいカンティーナである。メルローを15%ブレンド。低価格帯のアリアニコは青さが目立ったり、埃っぽさが過多だったり、タンニンが強すぎてバランスが崩れていたりすることがあるのだが、このワインはそのどれもなく、アリアニコの優しさをうまく表現している。

一皿一皿のクオリティ、コースの流れ、ワインとのアッビナメント、コストパフォーマンス、どれを取っても非の打ちどころがない今日の食事だった。また、食後にサービスの三浦さんと話して確信したのは、「お任せ」の威力。メニュー選びの楽しさはなくなるが、お店側が事前に十分準備できるのは大きい。そのメリットをそのまま食べ手は享受できるのだから。

食後は地上階のインプリチトに来ていたフーデックスで来日中のピエモンテの作り手たちと話しているうちに、2時半。誘ってくれたので翌日はフーデックスに行くことに。これは追ってアップします。
by taurasista | 2008-03-13 23:27 | レストラン(日本)