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ボッカディガッビア・アクロンテ Akronte 1992 (Boccadigabbia)

マルケ州の赤品種で代表的なのはモンテプルチャーノだが、このアクロンテはカベルネ100%。90年代まではサッシカイア、ガヤのダルマジ、ランポーラのサンマルコ等と並んでイタリア最高のカベルネとの評価を受けていたワインだ。

マルケのカベルネは他には見当たらない。イタリアのフランス品種と言うと、スーパートスカーナのように歴史とは無関係だと考えがちだが、それは正しくない。歴史的な要因でかなり古くからフランス品種が栽培されている地域がある。例えばフリウリの名門ヴィラ・ルシッズ Villa Russizの赤のトップキュヴェはメルローだが、これはかつてこの地を支配していたハプスブルグ家が持ち込んだもの。

アクロンテの歴史もこれと似ている。このカンティーナのある土地は、19世紀初めにナポレオン一世がイタリアを占領して以来第二次大戦後までナポレオン一族が所有し、フランス品種を持ち込んだ。この領土は第二次大戦後に分割で売却されたが、その一部を購入したのが現在のオーナー エルヴィディオ・アレッサンドリ Elvidio Alessandri氏の一族である。

ブドウ栽培に関しては、ナポレオン時代の伝統は途絶え、地場品種に植え替えられていたが、エルヴィディオ氏が主導して80年代に伝統復活プロジェクトが起動、80年代後半に再度フランス品種が植えられ、現在に至っている。

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ボトルにはナポレオンのNが浮き彫りに。カッコいい。

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Akronte 1992
[格付け] Vino da Tavola (現在はIGT Marche)
[品種]:カベルネ・ソーヴィニオン 100%
[醸造]:このヴィンテージに関しては情報がないが、現在はステンレスタンクで発酵。フレンチオークのバリック(新樽100%)で18−20ヶ月熟成。
[アルコール度数]:13.5%
[ブドウ・畑]:詳細不明。
[生産本数]:不明

控え目だがエレガントで品が良く、いかにも育ちが良いワインだ。
香りは特に強くはないが、軽やかで芳醇。カシス、スパイスに加えてやや潮っぽさがある。ミディアムフルボディで、程よくこなれた果実、酸、タンニンが素晴らしいバランスを形成し、とてもシルキーなマウスフィール。少し塩辛く、長いアフター。
かつてイタリア最高のカベルネの一つと賞賛されただけのことはある。もうほとんど市場に残っていないことは間違いないが、万が一見つけたらぜひ購入したい。そう思わせるワインだった。



by taurasista | 2019-08-12 09:15 | ワイン(イタリア)