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ロベルト・ヴォエルツィオ・バローロ・チェレクイーオ Barolo Cerequio 1996 (Roberto Voerzio)

バローロの革命が始まった1980年代以来、バローロを語る上で、欠かせないポイントだったのが、「伝統派」と「革新派」(バローロ・ボーイズ)の2極構造。

ロベルト・ヴォエルツィオは、エリオ・アルターレ、パオロ・スカヴィーノ、ドメニコ・クレリコたちに続く、「革新派」第2世代に当たります。ヴォエルツィオ家は、ラ・モーラで長く続く農家ですが、家督を継いだ兄ジャンニから1986年に独立して創業、最初のヴィンテージは1987年です。

ヴォエルツィオのワイン作りで特徴的なのが、イールドの低さ。厳しい剪定、グリーンハーヴェストに加えて、残した房も耳と下部を切り落としてしまいます。これだけではなく、地面からの輻射熱を生かすため、仕立てを低くする(つまり、作業性が悪い)など、恐ろしく手をかけて育てられたブドウから作られる彼のワインは、今やモダン、クラッシックといった枠を超えて、最も高い評価を受けるバローロの1本となっています。

バローロは全て単一畑でのリリースです。創業当初から所有しているチェレクイーオ、ラ・セッラ、ブルナーテに、90年代中盤以降に、ロッケ・デル・アヌンツィアータ Rocche dell'Annunziata、トリリオーネ Torriglione、フォサーティ Fossati、サルマッサ Sarmassaにも畑を取得。これだけの種類の単一畑バローロを生産しているのは、他にはパオロ・スカヴィーノぐらいでしょうか。

1996年は、クラッシックな優美なワインを生む最高のヴィンテージと言われていますが、その一方で飲み頃になるまでかなり時間を要する年で、おそらく、やっと飲み頃に入ったところ。また、「革新派」は、ロータリー・フェルメンターやバリックの使い方など、ワイン作りの実験を続けていた時期でもあります。前回ご紹介した古典派のヴィエッティはこれぞ、バローロ、という素晴らしいワインでしたが、さてこのヴォエルツィオはいかに?
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Barolo Cerequio 1996
品種:ネッビオーロ 100%
醸造:当時の手法は資料がありませんが、かなりバリックを使っていた時期だと思われます。なお、酵母は創業当時から基本天然酵母のみのようです。
アルコール度数:13.5%
ブドウ・畑:ラ・モーラの銘醸畑チェレクイーオ単一畑。畑は南/南東向き。
生産本数:不明ですが、間違いなく500ケース未満。

20年以上経過したネッビオーロとしては、かなり濃い目の色調。香りは相当に若々しく、バリック由来と考えられるコーヒーやヴァニラ、プラムなどが要素の、非常に力強いものです。ボディは非常に大きく、凝縮していますが、ほのかな甘味を持ち、またジューシーな口触りで、重たさは全然感じません。力強く長大な余韻。ヴィエッティとは対照的なスタイルで、当時言われていた「モダン・バローロ」の典型的な姿を、20年以上を経過した今もしっかりと残しています。

まだまだ余裕で10年は熟成するだけの酒質を持っているので、手持ちのもう1本は、最終的な熟成の姿を確かめるために、しばらく残しておこうと思います。これまで飲んだ88〜90年のモダン・バローロは、完全に熟成した状態だとクラシックとの差を感じませんでしたが、90年代中盤のものは、作りも違うので、比較してみるのが楽しみです。

by taurasista | 2017-04-10 06:56 | ワイン(イタリア)